49-◎作品を読む醍醐味
三田正広の歴史小説。本当に読み応えがある。
源頼朝、私の住んでいる三島市にはゆかりのある人物であるのに、中学や高校で学んだこと以外全く知らなかった。武者であるので戦いに明け暮れていたと思っていた。なんて事!
京で育ち、教育を受け、貴族趣味を愛し、不思議な運命で伊豆に流され、武家の棟梁としての人生を歩んでいく。そこには自分の人生を正面から受け止め、武者としての力は無くとも、自分らしく時代を切り開いていく・・・幼いころの人脈も取り込んで。周りにいる人々の力を取り込んで渦が大きくなっていく・・喜びも悲しみもその渦の中に溶けさらに大きくなっていく。
作者があとがきで言っていた事だが、「なぜ、頼朝が人気が無いのか」・・・
わかる気がする。彼は自分のしたい事をしたのではないと思う。生きたいように生きたのではないと思う。彼は、自分が置かれた人生の役目を果たす為に生きたように思う。ある意味華を求めていない
時代の流れ・・・武士の時代の始まりのために・・・
そこに充実感はあったかもしれないが、幸福感は?それも受け止めて生きたのだろうか・・・・・。